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ガチ登山温泉vol.2 @本沢温泉

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第1章 国道141号⇒本沢入口

ガチ登山温泉大2弾の今回は、通年営業としては日本最高位に位置する本沢温泉を紹介する。共に本沢温泉まで行ってくれたのは四国八十八箇所の旅でも一緒だった「にしやん」。今回のこの旅にはどんな出来事が待ち構えているのだろうか。

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉に向かうには、まず佐久と小淵沢を結ぶ国道141号から「松原湖入り口」交差点を松原湖方面に進む。この松原湖はテレビ番組でも度々紹介されるほど、わかさぎの穴釣りで大変有名な湖である。冬になると全面結氷した湖面にドリルで穴を開けて釣りを楽しむことが出来るという。このわかさぎ釣りも今年のうちにやっておきたいイベントである。

松原湖入り口からは、林道を入っていくので、地図などをよく見て進まなければならない。ちなみに我々は、八ヶ岳高原カントリークラブの横を通る道を選択した。道はせまく、ゴルフ場あたりからは未舗装で車体がかなり揺れる。車の離合はほぼ不可能である。この日、積雪はなかったが、過去に降った雪が解けずに残っており、わだちのあとだけ雪がとけているといった感じであった。

本沢温泉

本沢温泉

このゴルフ場沿いの道を進むに連れて標高はどんどんあがっていく。国道あたりが1100mであ、本沢入り口が1650mくらいであるから車で500m近くのぼることになる。時間にすると40分程度か。行った時期が冬で、かつ軽自動車で挑んだので運転は容易ではなかった。雪で車輪は空転するし、車高が低いので底を雪に摺りそうになる。もし冬挑む方がおられたら四駆などの大きな車で行くことをお勧めする。

この日はすばらしいほどの快晴で、ドライブは快調に進んだ。時々車が滑ったり、カーナビから道が消えたりもしたが、四国八十八箇所巡りで積んだ経験からすると、こんなものは不安の要素のかけらでもない。しばらく雪道の林道を走り、看板が見えたところで左折である。12時48分、本沢入口到着。

第2章 本沢入口⇒ゲート

本沢入口の前には看板があり、地図と案内板が出ている。残念ながら案内の文字はお世辞にも上手とは言えない。ここにはカメラマン2人と、車数台が止まっていた。タクシーで来る場合や、オフロードに自信の無い方はここまで車で来て、ここから徒歩で歩くことになる。ここから歩くと2時間程度かかるという。我々は、極力歩く距離を減らすため、もう少し先に進んでみることにした。このとき何故かこのカメラマンたちは、我々がこの本沢入口から先に進んでいくのをとても不思議そうに見ていた。その時は何故不思議がられているのか全くわからなかったが、直後理由が判明する。

本沢温泉

本沢温泉

本沢入口から少し進むと路面は雪で完全に覆われ、車の車輪は空転し始めた。ここで動けなくなると大変である。車内は一気に緊迫した。カメラマンたちが、この道を進む我らを訝しげな目で見ていたのはそういう理由だったのだ。この雪の量と坂の急斜面では、四駆などでも登るのは困難であろう。それでも我々は、前後を繰り返しながら急な坂を懸命に登ろうとしたのだが、ついには空転して前へ進めなくなってしまった。細い林道で、Uターンも出来ないので取り合えず切り返せるところまでバックし、カーブの途中の空きスペースで車を駐車することにしたのであった。

本沢温泉

本沢温泉

本当は、ゲートまで車で行く予定であったのだが、予定が変わってここから歩くことになってしまった。本沢入口から2時間、ゲートから1時間というので、本沢温泉まではちょうどその半分の1時間半くらいかかるか。車からカメラや温泉道具、そして食べ物などを詰め、我々は温泉まで歩き出した。時刻は13時13分、夕暮れまでには戻ってこなくてはならない。17時までに帰ってこれるのか。

温泉に向かって歩き始めた我々であるが、凍った雪に何度も足をとられ、なかなか容易には前には進めなかった。雪が積もっているとは予想していなかったので、普通にスニーカーで来たのだがこれが間違いだったようである。前回の白馬鑓温泉のときでもそうだが、登山のときに全く登山の格好をしていないのでいろいろと困る。次大きな山に登るときは是非完璧な装備で臨みたい。

車を止めた場所から約10分で「展望台」と呼ばれる場所に到着する。ここは、駐車場になっていて四駆でない車はここまでしか行けない。本来ここに駐車という予定だったので、我々が車を止めた場所から10分程度で目的の「展望台」駐車場に着けたのはよかった。ここからさらに10分程度で、ゲートに到着する。

第3章 ゲート⇒本沢温泉

「ゲート」地点からは四駆であろうがなんであろうが、ゲートで道が塞がれているので、車で進むことは出来ない。しかし、ゲートから先も車が進めそうなほどの幅員が用意されていた。白馬鑓の時の細くて急な山道とは大違いである。緩やかな坂が続き、ゆっくり進めばそれほどしんどくは無い。

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉

明日から大雪と聞くが、この日が晴天で本当によかった。確かに、白馬鑓温泉のときに比べれば道の質もしんどさも雲泥の差であるが、やはりこの雪だらけの道を悪天候のときに進みたくはない。にしやんは途中からややしんどそうではあったが、それでも急いでのぼらず、休み休みいけば、そう大変な山登りではなかった。

本沢温泉

本沢温泉

時折、急な坂もあるが、基本だらだらと標高があがっていくので、疲れよりもあとどれくらいこの道が続くかのほうが気になるような道であった。ゲートから本沢温泉まではたった300m程度しか登らない。同じような標高の白馬鑓温泉が、標高差800m、登山時間5時間だったのとは大違いである。ところどころ雪が深いが、除雪はしてあるので、だらだらと登山は続いていった。特筆することもないほど、普通の道であった。

本沢温泉

本沢温泉

山を登り続けると一箇所すばらしく景色のいいポイントがあった。遠くに見える景色がどちらの方向なのかはよくわからなかったが、遠くに山が連なり美しい光景だった。このポイントを過ぎると道は川に沿うように進む。この川の川岸に我々の目指す温泉があるという。道は小さなアップダウンを繰り返しながら目的地へと続いていった。

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉

そして、ゲートからちょうど1時間、ビューポイントからは約20分で、本沢温泉に到着した。本沢温泉の重厚な山荘の横を通り過ぎ、5分ばかりさらに歩くと、目的の「雲上の湯」だ。

第4章 本沢温泉『雲上の湯』

本沢温泉「雲上の湯」。1時間かけて目指した温泉にようやく到着である。はじめて温泉をみたときは到着の喜びと感動で思わず声をあげてしまった。河原にあるので登山道からは少し下らなければならないが、一歩一歩進むごとに温泉はどんどん近づいてゆく。

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉

本沢温泉

温泉は、もちろん脱衣場は無い。少し平坦な台があるのみである。しかもそこには雪が積もっており、とてもじゃないが脱いだ服は置けない。我々は、雪の積もっていないところを探して、湯船に飛び込んだ。浴槽の周りは雪が凍っていて滑って怖い。

湯加減は、思ったよりもずいぶん暖かくてこの寒い気温の中、体に染みた。もうこの外の寒い気温のところに出ることは出来ないと思うくらい心地よかった。奥側、棒の突き出してるあたりから湯が出ているらしい。この棒には、「日本最高所 本沢温泉露天風呂 雲上の湯」と書いてある。日本最高と書いてある温泉に入れていることが誇らしい。1時間かけて来たかいがあった。今日そのまま帰ると思うと切ないが・・・。

2人でゆっくり入っていると、千葉から来たという歳も同じくらいの若者がやってきた。今日はこの本沢温泉に泊まるのだという。今日このまま帰ると話すと驚かれた。途中ですれ違った登山家グループには軽装であることに驚かれたが、さらにこれで日帰りとは、おかしい存在に見えて無理も無い。彼らもまた軽装であったが、ここで一泊するだけましだ。

第5章 帰路

日が傾き、あたりはだんだん暗くなってきた。日没までに車まで戻らなければならない。我々はこの若者グループに会釈をして帰路を急いだ。ライトも持っていない我々がこの雪道を下山するのは危険極まりない。そう思い、焦って下山していたのだが・・・・、

ここで、まさかの珍客に遭遇することになる。

「にしやん、にしやん、あれ熊じゃない?」

焦って、駆け足で帰路についていた我々の前に現われたのは、そう、野生の熊だった。20mくらい前の登山道をゆっくりと横切ったのだ。我々は凍りついた。私は以前、長野県の栄村というところで、車中から野生のツキノワグマをみたことがあるのだが、何も囲いの無い状態で、しかも野生の熊と対峙するのは初めてである。相手も人間の姿を見てびっくりしてしまったのだろう。登山道の脇の藪に潜んでしまった。

「走って逃げたら習性でおいかけてくるから。向こうを怖がらせたら襲ってくるしなあ。」

我々は考えた挙句、ひっそりと本沢温泉のほうへ戻ることにした。このまま登山道を進めば、熊の至近距離を通過してしまうことになり、熊を刺激してしまうからだ。いったん引き返した我々は歌を歌いながら、そして大声を出しながら、熊のいるポイントに戻ることにした。人間の存在を知らして、向こうから自発的に退散するのを期待しての行動だった。

「あー、まだいる。」

さっきの茂みに熊はまだ座り込んでいた。茂みの間から黒い耳がちらちら動く。このまま熊がここを動かなければ、我々は帰れない。日没が迫っていた。最悪、本沢温泉に泊めてもらうか、登山道以外の山を進むことも考えた。が、もう一度考えた結果、引き返して再度この作戦で熊を追い払うことにした。

「さんたあるーちいあー、さんたーるちーーーーあーー。」

もう1度トライだ!
何故かサンタルチアをイタリア語で歌いながらさっきのポイントに戻る。
あ、いない!!!!!!!

何度か大声を出しながら行ったりきたりしているうちに熊は、どっかに逃げてくれたようであった。我々は、おそるおそる熊のいた藪のそばを通り、泣きそうになりながら一目散に車に急いだ。もしあとをつけられて背後からがぶっといかれたら・・・、想像するとさらにこわくなって、半ば錯乱状態で下山した。ちなみに藪のそばには血で染められた小動物の死骸が落ちていた。

それにしてもこの季節に何故熊がいたのだろう。冬眠はどうした。しかも熊の主食はどんぐりなど木の実がメインのはずである。小動物の死骸は・・・何?食べるため?それとも・・・?

熊に出会うことはそうそうないだろうが、もし出合ったときは慎重に行動して欲しい。
・走って逃げない。追いかけてきます。
・鈴などで人間の存在を知らせましょう。
・出会ってもゆっくり後退し、距離をあけましょう。
・リュックなどを置いてクマの気をそらしましょう。
日本では毎年、クマに襲われて死亡や大怪我をする事故が何件も起きている。遭遇した際は慌てず、焦らず・・・。ちなみに友人にしやんは、動揺もせず、むしろおもしろがってさえいるようだった。そう、彼のように焦らず、堂々と。これが大事である。

クマに遭遇できる、日本一標高の高い温泉に入れる、この「本沢温泉」。一時間くらいの登山でたどり着けるので、興味を持ったかたは是非行っていただきたい。すばらしい思い出になることだろうと思う。

本沢温泉の地図

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