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レンタカーで巡る四国八十八箇所

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1日目 第1番札所霊山寺→第23番札所薬王寺

2006年8月19日、私と友人にしやんは久々の再会を果たした。再会の理由は、そう、レンタカーを借りて四国八十八箇所を3泊4日で回りきる、その為だった。昨年の夏もこの2人で台風直撃の中、四国に上陸し、床上浸水の恐怖に怯えながら高松駅で野宿したり、横殴りの雨の中ひたすら歩いたりと四国で珍道中を繰り広げたのだが、今回の旅はその旅を遥かに超えるスケールである。果たして3泊4日で88寺全てを回れるのか、不安を抱えながら旅は始まった。

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明石海峡大橋

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明石海峡大橋

レンタカーで巡る四国八十八箇所

スロープカー

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スロープカー

我々は京都駅で落ち合いまず舞子を目指した。三ノ宮までは新快速、そこからは各駅停車に乗って舞子に向かい、舞子で高速バスに乗り換えて、鳴門に向かうのである。かなりハードなスケジュールを立ててしまったせいか、途中の三ノ宮で乗り換えなければならない電車に乗り遅れそうになったり、舞子でも高速バスにギリギリ間に合うなど、かなり波乱含みの旅のスタートとなった。

鳴門へは高速バスで約1時間である。バスは明石海峡大橋を渡り、淡路島を南下して行く。そして14時過ぎに予定通り我々は鳴門に到着した。降り場にある不思議な乗り物「スロープカー」(写真)を使って下界に下りると、目の前にレンタカー屋があり1番安いトヨタのパッソを借りることにした。意気揚々と車に乗り込み、エンジンを掛ける。4日で寺を88箇所もまわる過酷な旅が今ここに始まった。

レンタカーで巡る四国八十八箇所

第1番札所
霊山寺
15:20

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第2番札所
極楽寺
15:31

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第3番札所
金泉寺
15:44

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第4番札所
大日寺
16:03

レンタカーでの寺巡りは第1番札所霊山寺から始まった。このあたりの地域は札所となる寺が密集しているので、我々は順調にどんどん数をこなしていった。たいていの寺が同じ道路上が、そこから少しだけ入ったところにあるので、次の札所も見つけやすく、我々には楽勝モードが早くも漂った。

車内では荷物を広げたり、iPodをスピーカーにつないで音楽を流したり、携帯を充電しはじめたりと「自分カスタマイズ」が着々と進んでいた。今日から4日間はこの車が我らの家である。電車の旅とは違う車移動の快適さに我々は喜びを感じていた。

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第5番札所
地蔵寺
16:15

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第6番札所
安楽寺
16:33

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第7番札所
十楽寺
16:43

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第8番札所
熊谷寺
16:58

そもそも今回の旅は、3泊4日で88箇所全てを回りきれるか、という趣旨の旅であり、何か困難に直面しているので88箇所を巡礼して仏様の力にすがりたい!などというものではない。そこで、「門」もしくは寺の名を示す「石標」の前で写真を撮ることでその寺はクリアしたと見なす、という独自ルールを設け、それに従ってこの3泊4日をやりきることとなった。このルールを決めたことによって、この後境内へすら入らない寺が続出していき、我々の寺巡りはさらにスピードアップしていくことになるのであった。

このルールに則って、今回の旅は進められていくことになるのだが、目標達成の為に確認しておかなければならないもう1つのルールがある。それは、この3泊4日で88箇所制覇のノルマを実現する為には、1日最低でも22寺以上はまわらなくてはならない、というルールである。つまり、今日は昼の2時からのスタートであるので、半日で22寺巡らなければならないことになる。そのため、一方が疲れれば運転を交代し、数寺クリアすればまた運転を交代し、といった具合で休む暇を与えられることもなく、次々と我々は寺巡りを進めていった。第5番~第8番までの寺も比較的同地域にあるので、2~3寺ごとに運転を交代しながら非常にいいペースで数を増やしていった。

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第9番札所
法輪寺
17:18

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第10番札所
切幡寺
17:48

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第11番札所
藤井寺
18:41

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第12番札所
焼山寺
20:07

第11番札所藤井寺を過ぎた頃、日没を迎えた。あたりは急速に闇に包まれていき、我々は旅行初めての夜を迎えた。3時間20分で11寺終了、藤井寺終了の時点では非常によいペースである。しかし、徳島最大の山場、第12番札所焼山寺がいよいよ次に迫り、車内は緊張と沈黙に包まれた。

第12番札所焼山寺は、いわいる遍路ころがし、と呼ばれている八十八箇所の中でも難所中の難所である。11番札所藤井寺から12番札所焼山寺までが1時間20分かかっていることでも分かる通り、山道のみ30kmをひたすら走り続けなくてはならないのだ。我々は事前にその情報を掴んでいたので特段の動揺はなかったが、時折離合不能なくらい狭い道になるので、夜の山道を慎重に進んでいった。ちなみに私は長野県に4年も住んでいるからだろうか、市街地をノロノロ走るよりは、ぐにゃぐにゃした道をスリリングなコーナリングさばきで爽快に走る方が好みである。我らパッソプチプチプチトヨタは安全運転を心がけつつも、爽快に!スリリングに!徳島の山路を焼山寺へと向かった。

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焼山寺にもし行こうと考えておられる稀有な方がいたら、注意をして欲しいのだが、焼山寺に入る専用道は車の離合はほぼ不能である。そして片側は谷である。長野や岐阜など山間部からおいでの方は「こんなんでビビってんの。アホちゃうか?」と思うかもしれないが、そうでない方は十分に注意が必要である。谷に落ちたいという感性をお持ちの方はご自由にしていただきたいが、無事故で焼山寺につくぞ、という方は残り数キロは慎重運転でお願いしたい。写真は小さくて暗くてよく分からないが、非常に道は細い。

焼山寺の駐車場に着いた我々は車を止め、ノルマである山門でのカメラ撮影に臨んだのだが、車のライトを消すと参道はまったくの暗闇であった。携帯のフォトライトで照らしながら山道を数分歩くと階段と門があったのだがそこにたどり着くまでは非常に恐怖を感じた。携帯のライトでは心もとない、絶対この旅はライトが必要だ、と思ったが既に後の祭り。当たり前だがこの時間に参拝者はゼロだった。

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第13番札所
大日寺
21:08

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第14番札所
常楽寺
21:33

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第15番札所
国分寺
21:49

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第16番札所
観音寺
22:05

難関、焼山寺を制覇し、再びシティー派寺院巡りに戻った我々は夜の寺巡りを順調に進めていった。しかし21時の時点で今日のノルマが残り半分の10寺まだ残っているということは恐怖以外の何物でもない事実であった。

途中、徳島市街を通ったので長野でよくお世話になっているカツ丼チェーン店「カツや」で遅めの晩飯を取ることになる。久々の硬い地面、動かない椅子に腰掛けるということに感動を覚えながら我々は勢いよくどんぶりを食った。温かい飯が胃に染みる。

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第17番札所
井戸寺
22:20

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第18番札所
恩山寺
23:57

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第19番札所
立江寺
0:16

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第20番札所
鶴林寺
0:53

ここから4寺は一寺ずつ詳しい紹介をしていきたい。

22時20分 第17番札所井戸寺。
何故か境内の中にワンボックスカーが止まっていて実に怪しい感じであった。車内で男女が愛を語り合っている、そういう雰囲気に見えたが間違いないだろう。写真撮影のとき、にしやんが駐車禁止の看板を振りかざしたのだが、何故かこのまま看板ごと地面に倒れこんでしまう。起き上がったとき彼は出血してしまっていた。にしやんは名誉の負傷だと絶賛していたが、どうみてもあれは後世まで語り継がれるであろう「不名誉」の負傷である。

23時57分 第18番札所恩山寺。
写真が小さくてわからないかも知れないが、雨が急に降ってきたので傘を2人で差しながら写真を撮っている。そしてなんとにしやんは口で傘をくわえて写真を撮っているのである。写真撮っているときには全く気づかなかった。先ほどの不名誉もこれで挽回なったか。

0時16分 第19番札所立江寺。
たけのこにょっきをしている非常に痛い写真である。ここの寺は駐車場の場所がよく分からず、門の前の小さなスペースに停車させてもらったのだが、非常にスペースが小さかったので切り返しの連続でうまく車を止めるのに苦労した。雨もやんでほっとしたのだが、既に日付は翌日の日付を指していた。ノルマ消化まで残り4寺。

0時53分 第20番札所鶴林寺。
これが今回の3泊4日八十八箇所の旅で最大の恐怖体験をした寺である。二度と行きたくない寺NO.1の座は不動である。我々の中ではこの恐怖体験をした鶴林寺を敬意を込めて「つるりん」と呼ぶことにしている。つるりんは本当に恐ろしい。

レンタカーで巡る四国八十八箇所

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第19番札所立江寺で一旦病止んだ雨は、このつるりんに近づくに連れて激しさを増していた。つるりんが恐怖NO.1寺の称号を手にしたのは、この寺が難関寺であるという情報を聞き漏らしていて心の準備ができていなかったというのも原因の1つにあげられるが、決してそれだけではない。焼山寺並みの秘境寺で離合困難極狭道が続くと同時に、恐ろしいほどの豪雨に見舞われ、路肩の崖は豪雨で崩れかかり、道路は山の小川のように水の流れる水路と変貌し、本当に遭難するのではないかという恐怖に襲われた。アスファルトの上には小石が転がり、「がけ崩れの前には山で音がしたり小石が転がることがあるので、予兆を見逃さないでください」という梅雨時に気象予報士の言っていた忠告を思い出して更に恐怖に陥れられた。さらに追い討ちをかけるように深い霧が発生し、視界は10m以下で運転困難な状態が続き、車内は錯乱状態であった。

駐車場に車を止めて山門までは、濃いキリで道の続いている方向が分からず、目をつむっているのかと錯覚するほどの暗闇で本当に門にたどり着けるのか、そして車のあるところまで引き返せるのか、その自信すら失われていった。門でのこれほど怖い記念撮影会は人生で体験したことが無い。誤って携帯のフォトライトを消してしまうと相方がどこにいるかさえ分からない状態であった。ただでさえ、深夜に寺巡りすることは恐怖であるのに、キリで真っ暗な中を歩き、がけ崩れ寸前の道を車で走り抜ける。これは肝試しや世にある恐怖体験の中でも最上位に位置する体験だった。もうあんな体験二度としたくない。そう思うほど鶴林寺は恐ろしかった。

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第21番札所
太龍寺
1:24

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第22番札所
平等寺
1:59

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第23番札所
薬王寺
2:49

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徳島の寺もいよいよ残すところ3寺となった。ここからは道もほぼ太平洋沿いの海沿いの道を走るので山道よりも非常に快適である。夜のため交通量も非常に少なく、時折スピード狂に道を譲るくらいで、疲労のピークには達していたが快適に車を飛ばしていった。

第21番札所太龍寺は、残念ながらロープウェーの営業時間を遥かに越えていたため、ロープウェー駅近くにあった寺の石標で代替した。この太龍寺のみが境内まで行けずに他の石碑でクリアとした寺である。無念であるが時間も時間であるし、朝まで待つと予定に支障がでるので、お参りさせていただくのはまたの機会ということにしたい。

のこりの2寺は問題なく消化し、道の駅宍喰温泉に着いたのは3時過ぎであった。駐車場に車を止め、座席を倒して我々は眠りについた。非常に長い1日が終わった。1日目徳島編は過酷で恐ろしい1日であった。

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