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ガチ登山温泉vol.3 @阿曽原温泉と下の廊下

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第1章 黒部ダム⇒内蔵助谷

下の廊下とは、立山・黒部アルペンルートのクライマックスである黒部ダムと、トロッコ列車で有名な黒部渓谷鉄道の終着駅「欅平」を黒部川沿いに結ぶ30.2kmの登山道のことだが、どうやら黒部ダムから下流に向かって進んで行きゴールの欅平を目指す、というのが一般的らしい。というのも、欅平から出発すると、登山開始直後にいきなり350メートルある急坂を登らなくてはいけないこと、そして体力のある1日目の早い段階で一番の難関「白竜峡」を超えておきたいという理由があるからだという。ということで我々も黒部ダムから旅をスタートさせる。

まずは、大町から朝一番のバスで黒部ダム入り。扇沢のトロリーバスは早朝7時にも関わらず登山客でごったかえす。聞く話によると、混んでいてもどんどん増便するのでバス自体に乗り遅れることは無いらしいのだが、万が一乗り遅れるとまた1時間くらい待たなければいけないので、心配な人はバス予約をしておいたほうがいいだろう。扇沢からぎゅうぎゅう詰めのトロリーバスに押し込められ、しばらく走ると黒部ダムに到着。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

黒部ダムバス停に着くと注意しなければならないのは、下の廊下へと向かう登山道は、黒部ダムの堤防へ向かう一般的な観光ルートとは別の出口を通らなければならないということだ。バスがバス停に着くと9割9分の人は黒部ダムのほうに歩いていくので、その潮流に流されずに我が道を行かないと、下の廊下へはたどり着けない。下の廊下に向かうには、降りたらそのままバス進行方向に向かって降車ホームをひたすら歩く。するとトンネルの出口があり、登山届を提出する箱が置いてある。このトンネルを抜けるといよいよ下の廊下登山のスタートである。

トロリーバスの出口は、ダムの堤と同じ高さのところにあるので、まずは川岸まで降りるために180mほど降下する。つまり、黒部ダムのアーチの高さ分降りるということだ。道は、トラックも通れるくらいのジャリ道で道幅も広い。おそらく関西電力の保守のための車などが通るのだろう。淡々と道を15分ほど下っていくと、目の前に突然黒部川が見えてきた。これからこの川に沿って欅平まで進むのだ。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

川岸までたどり着くと、警備詰所のようなところに警備の方が立っており、登山道が問題なく通れることを教えていただいた。朝早くからこうやって立って一人ずつに登山道の状況を説明されているのだろう。親切な対応でとてもありがたかった。そもそも登山の素人がこの下の廊下に挑むこと自体大変危険なことだが、正直我々素人では知らなかった情報もあり、この警備員の方からの山岳情報はかなり貴重なものであった。この場を借りてお礼申し上げたい。

さて、この詰所を通り越すと見えてくるのが黒部ダムの堰堤である。黒部川を渡る幅の狭い橋をから観光放水する黒部ダムを眺める。堰堤上を歩いたり、展望台に上がって黒部ダムを眺めたことのある人は多いだろうが、黒部ダムを下から見上げたことのある人は、それほど多くはないだろう。しかし堰堤の高さ日本一のダムだけあって、その姿は壮大でとても美しい!この険しい渓谷によくこれだけデカイ人工物を作ったものである。日本の技術力と、先人の努力に敬意を払わずにはいられない。下の廊下に行かない人でも、バス停からこの橋までは片道15分くらいで行けるので、ただ展望台から眺めるだけではなく、ここまで降りて黒部ダムを見上げるのも良いだろう。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

川を渡ると、ここからは川に沿って平坦な道が続く。来る前にイメージしていた、断崖絶壁の幅の細い道はここには無く、ただ平坦な道を川の流れにそって進んで行く。黒部川の水量もそれほど多くはないので、全く恐怖は感じないし、このあと待ち受ける恐怖の連続もここでは全く想像出来ない。心配していた天気も雲のほとんど無い快晴となりハイキング気分で我々は進んでいった。山を歩くというものはとても良いものだ。気分が晴れるし、本当に心地よい。

好天に恵まれ、そしてところどころ紅葉もしていたので歩きながらまわりを見渡すと景色がとても良い。今回、この旅行記に掲載している写真は全て道中で撮影したものであるが、全てクリックして拡大することができるので興味のある方は是非ご覧戴きたい。また、この写真がこれから下の廊下にチャレンジする方の道中をイメージする際の助けになれば幸いである。ただし、ちょっとでも気を抜くと滑落死の可能性がある場所ばかりなので、撮影の際はくれぐれもご注意をいただきたい。写真に夢中になって命を落としては意味が無い。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

内蔵助谷までは特記することは無く、恐れるものは何1つとしてないので、右手に川を眺めながらのんびりと歩く。黒部ダムを出発して約1時間このような平和な道を進むことになる。1つ気になることと言えば、途中で出会う人の装備がかなり重厚で、軽装備の我々が毎回奇異の眼で見られることぐらいである。何がなんでも重装備である必要はないと思うのが、やはり最低限の装備は必要である。舐めたとたん山は牙を向いてくるので、山を舐めてはいけない・・・。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷

黒部ダムから歩くこと約1時間で我々は内蔵助谷に到着した。

黒部ダム⇒内蔵助谷の地図

第2章 内蔵助谷⇒新越沢

内蔵助谷は、よく滑落等のニュースで名前を聞くところだ。内蔵助谷のどの辺りで事故が起きているのかよくわからないが、我々が出会う前も谷に人が落ちて重症というニュースをやっていたし、沢の水が増水して救助を求める人もいるらしい。内蔵助谷出合では、下の廊下と内蔵助平のほうに伸びる道とが分岐するが、何も意識せずに進むと内蔵助平のほうに進んでしまうので注意したい。

内蔵助平(標高約1800メートル)で50~55歳くらいの男性が橋の近くで川に転落し流される

8日午後2時半ごろ、北アルプス・立山から黒部川に向かう途中の内蔵助平(標高約1800メートル)で「50~55歳くらいの男性が橋の近くで川に転落し流されたのを見た」との通報が、登山グループから山小屋を通じて富山県警山岳警備隊にあった。通報によると男性が流された時刻は8日午前11時15分ごろだという。さらに同日午後3時15分ごろ、ほぼ同じ場所で「午前11時半ごろ、7人の登山者が川を渡れずに救助を求めていた」との通報が男性登山者から同警備隊にあった。警備隊が現場に向かっている。(2007年10月08日20時25分 読売新聞)

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

内蔵助平へ行く道との分岐点を右に行くと、この沢を渡る木製の仮設橋を渡る。雨のあとで増水している際は橋が流されている場合もあり、沢の中を渡らなければならない場合もあるらしい。20mほどある仮設橋の下には、沢の水が勢いよく流れている。この沢の水の中を渡ることになったら嫌である。本来は、沢を渡ることも考えて装備をしなければならないのだろうが我々にそんなものがあるわけもなかった・・・。

事故多発地点らしいので、ここは注意して渡りたい。また、間違えて内蔵助平のほうに行ってしまう人も多いらしいので、分岐点では注意が必要である。沢の方へ道を降りていくと内蔵助平では無く、阿曽原温泉の方へ進むことが出来る。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

内蔵助谷出合を過ぎると急に岩が多くなる。道を歩いているというよりは、岩の間をジャンプして越えていくと言った感じだ。岩の間を果敢に飛び越えながら進むので、道という道があるわけでもなく、岩に書いてある赤い矢印ただ伝って歩く。特に技術的に難しいとか、死の恐怖に直面するとかは無いのだが、ただしんどい。いつも研究室に閉じこもってばかりの大学生にはなかなかキツい岩登りである。

この時点で、黒部ダムを出発して1時間半。まだ道と川の高低差は数メートルしかなく、道も別に普通なので怖がる点は一つも無い。黒部ダムから今までしてきたことと言えば、1時間ほど川沿いに歩いて事故多発の沢を渡り、30分岩場をジャンプしただけだ。感想を言うなら少し歩くのに飽きてきたのと頻繁にのどが渇くくらいか。美しい景色を眺めながらそして皆と話しながら進むとべつに苦痛ということはない。むしろ早くその断崖絶壁とやらを見たいという衝動に駆られる。

しかしあと6時間半も歩くわけである。これが我々には信じられない。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

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阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

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岩ゾーンを抜けたあたりで、数十人のグループを追い抜かす。道端で休憩をしておられたので、挨拶をしながら通過する。このような大集団ってのはどういう人なのだろうか。山岳会みたいな団体なのだろうか。割と年配の方が多かった。大勢で歩くと心強いだろうと思う。こんな素人の若者がたった4人で、しかも何も持たない軽装備で進むのとは訳が違う。

しかし、このガチ登山温泉シリーズを通して思うことだが、登山はかなり年配の方が多い。出会う人ほとんどが50代以上なのではないだろうか。グランドでやるスポーツと違って瞬発力は要求されないのかもしれないが、登山はそれでもすごい体力を使う。また、感覚を研ぎ澄まして生死を掛けて進む場面もあるだろう。それほど大変なことなのに果敢に挑む中高年の方が多いというのはすごい。今までにいろんな山を経験したエキスパートなんだろうか。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

我々は、大集団を抜かし、我々は若さという最大限の武器を使って旅路を急ぐ。まだまだ全行程の1/4しか進んでいないのだ。日没までに今夜泊まる阿曽原温泉に着かないといけない。先はまだまだ長い。

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

阿曽原温泉と下の廊下 黒部ダム⇒内蔵助谷 内蔵助谷⇒新越沢

さらに進むと、徐々に道の様子がおかしくなってきた。徐々に川との高低差が開き始め、道幅も数十センチに狭まる。左は岩肌むき出しの斜面、右は十数メートル下に川。いよいよ我々が行く前に見て恐怖でおののいたあの光景が、現実のものとなろうとしていた。恐怖の白竜峡までのカウントダウンがとうとう始まった。

内蔵助谷⇒新越沢の地図

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